エウデリカ、選択の時

2006年 4月 12(水曜日)

* 街郊外のとある草原 *

エウデリカ:……ここに来てからもう一月か。
しかし、今に至るまで何の手掛りも得られていない。
やはり、今回も駄目なのか……。
エウデリカ:今までに数百人もの『候補』を見てきたが、その中でも彼らは一番怪しかった。今度こそ、間違いないと思った。
だがそれも、結局は私の思い込み、希望的観測だったのかもしれない。
エウデリカ:これ以上ここに留まっても、もはや意味はない。
だが、何故だろう。私は不思議と、この場所に居心地の良さのようなものを感じている。
それは彼らの人柄からか、或いは私の甘えなのか……。
エウデリカ:ここを出れば、また長く孤独な旅へと戻ることになる。
生きているかどうかも分からないたった一人の男を捜して、無限の世界を彷徨う日々へ……。
エウデリカ:正直、もう……疲れた……。
みしろ:……あれあれ?この景色、どこかで……。
エウデリカ:――なっ!
みしろ:あっ……えーと、こんにちわ、はろー、ぼんじゅーる、ぐーてんだーく、ずどらすとびーちぇですー。
エウデリカ:……。
みしろ:あれ、違ったですか?
じゃあ……
エウデリカ:……ちゃんと通じている。
みしろ:それはよかったですー。
エウデリカ:で、誰だお前は?私に何か用か?
みしろ:みしろは通りすがりの見習い天使なのですー。名前は……
エウデリカ:「みしろ」だろう?
みしろ:はわっ!!どうしてわかったですかー?
エウデリカ:……最初に自分で言っただろうが。
みしろ:……。
みしろ:あぅ、そうだったのですー。
エウデリカ:悪いが、今は人と話したい気分じゃない。
放っておいてくれ。
みしろ:……。
エウデリカ:何度も言わせるな。さっさと行け。
みしろ:……泣いていたのですか?
エウデリカ:お、お前には関係ない!
みしろ:……探し物は、もうすぐ見つかるのです。
エウデリカ:なに?!
みしろ:みしろは、時を渡り歩くもの。遍在するもの。どこにでも居て、どこにもいないもの。
今はその力をほとんど失っていますが、少しだけなら、あなたの運命を俯瞰することができるのです。
エウデリカ:……。
みしろ:あなたはもうすぐ、大きな選択をするのです。その時まで、動いたらダメです。
もしここを出たら、探し物は永遠に見つからないのです。
エウデリカ:選択って……何だ?
みしろ:かわいそうですが、どれを選んでもものすごーくタイヘンなのです。
でも、自分で選んだものなら、タイヘンだとは思わないのです。
エウデリカ:……。
みしろ:みしろに見えるのは、ここまでなのですー。
信じる信じないはオマカセするのです。
エウデリカ:……そうだな。信じるかどうかは、私の勝手だ。
みしろ:それじゃ、みしろは行くのですー。
エウデリカ:……。
……ありがとう。
みしろ:さようならですー。
エウデリカ:……さて、帰るか。
選択か何か知らんが、今更どうということはない。自分がしたいようにするだけだ。
エウデリカ:ん……本部から通信?珍しいな。
エウデリカ:なっ――そんな、バカな!
私はまだ、何も……!
エウデリカ:とにかく、戻らなければ……。